第68章 恋から愛へ《27》
「今日はお招きいただき、ありがとうございます。」
無表情でお礼を言う佐助くん。
佐助くんの右隣に座っている金髪のオッドアイが謙信様
佐助くんの左隣が、やんちゃそうな顔しているのが幸くん
その隣の、大人の色気満載が信玄様だというのをお姉ちゃんがコソッと教えてくれた。
「貴様のおかげで、陽菜が戻ってきたからな。礼を言う。」
「ありがとうございます。」
信長の労いにも、無表情の佐助。本人はとても喜んでいるが、表情筋の働きが乏しい。
御膳が運ばれてきて、宴が始まった。
「陽菜さん」
家康にお酌をしていると、佐助くんに声をかけられた。
「佐助くん、今回は本当にありがとう。」
「いや、気にしないで。戻れたのも陽菜さんのおかげだから」
「陽菜のおかげ…?」
家康がピクリと反応して、佐助くんに聞く
「はい。えっと……あなたは…」
「…徳川家康」
「!?」
家康が名乗った瞬間、佐助くんの眼鏡がキラン!と光り……
ガシッ!!
「大ファンです!!」
「は?…だいは……??」
家康の杯を持っていない方の手を掴み、ブンブンと上下に振っている。
家康が目で、何言ってんの?と聞いてきたから「憧れ?みたいな感じ」と答えといた。
「それで、佐助くん。私のおかげって?」
未だに家康の手をブンブン振っている佐助くんの意識を元に戻す。
佐助くんは、家康の手を離し、眼鏡のブリッジを中指でクイッと持ち上げ、話し出した。