第67章 恋から愛へ《26》家康side
《信長side》
「(ようやく、纏まったようだな)」
広間に入ったときに、陽菜と家康、香菜と秀吉の纏う雰囲気が違っていたのに気づいた信長。
そして、先ほどのやり取りで、陽菜と家康が恋仲になったことを確信。
秀吉と香菜の方は、宴が始まってすぐに秀吉が言いにきたのだ。
「(家康はともかく、秀吉は時間がかかったな。)」
まぁ、香菜自身が、一線を引いていたから仕方ないのだが……
「(しかし、あの家康が………)」
幼少時代のほとんどが、人質生活だったため、いろいろと我慢をしてきた家康。
そのため、野心は強く、かなりひねくれた性格になってしまった。
欲しいものは、武功をあげること。だから、厳しい鍛練も自ら進んで取り組んでいた。
そんな家康が、心から欲した女。
そして、陽菜も、家康を受け入れた。
「(秀吉もだな…)」
低い身分の出だが、己の実力だけで、俺の右腕にまで登り詰めた男。
俺の成そうとしていることを、秀吉も共に成そうとしている、信頼のおける男だ。
だが、俺のためなら、命も平気で捨てようとする。
自分がどうなろうと気にしないため、特定の女は作らない。
だが、秀吉は自分から香菜に惚れ込み、香菜も秀吉に惹かれていった。
「(…面白くなると思って、連れてきたが……)」
いい方向に傾いたようだ。
守る者がいれば、人は強くなるからな。
「(本当に幸いをもたらすとはな…)」
「…ふっ、我ながら、良いものを拾った…」
ポツリと言葉をこぼした。
「?信長様?」
「何か言いました?」
「いや。それより続きを話せ。」
姉妹に話しを促すと、嬉しそうに話を再開した。
「500年後では、戦はなくて、平和に暮らしてて……」
「あと、食べ物も、いろんな国の料理が食べれたり、甘いものも種類が多くて……」
姉妹の話に、信長は新しいおもちゃが手に入った子どものようにワクワクしながら、耳を傾けた。