第67章 恋から愛へ《26》家康side
「い、家康!?」
「…ほぅ。俺の邪魔をするか。家康」
「邪魔もなにも、陽菜が俺に助けを求めたから、助けにきたんです。」
「……ほぅ。」
秀吉の慌てた声、信長の感情のよめない声、家康の少し怒気を含んだ声。
上座でのやり取りを、政宗と光秀はニヤニヤしながら、香菜と三成はハラハラしながら見守る。
信長がフッと笑い、摘まんでいた金米糖を自分の口に入れる。
金米糖を舌の上で数回転がし、500年後の金米糖を堪能する。
「上手いな。陽菜、礼を言う。家康。」
「…なんですか」
「いい顔するようになったな。」
「は?」
何か言われるとは思っていたが、想像していたものと違い、思わず間抜けな声を出してしまった。
「泣かすなよ。」
そう言った信長様の顔は、意地の悪い顔ではなく、安堵の表情をしていた。
「…御意。」
俺の言葉に満足したのか、安堵の表情から普段の顔になり、
「秀吉、家康。貴様らは下がれ。香菜、こちらへ来い。陽菜と一緒に酌をしろ。そして、500年後の話を聞かせろ。」
信長様の命で、陽菜の口から手を離し、秀吉さんと下がる。入れ違いに香菜が上座に座り、3人で500年後の話をしている。
下がった俺と秀吉さんは、
「お前ら、どうなったか教えろ!」
「広間に入ったときからお前たち4人は雰囲気が違っていたな」
「信長様はなぜ、家康様にあのようなことをおっしゃったのですか?」
「「………」」
ニヤニヤしている政宗さんと光秀さん、訳のわかってなさそうな三成に尋問されていた。
何はともあれ、俺達の仲は安土の武将達に認められた。