第67章 恋から愛へ《26》家康side
「秀吉さんに頼まれてたものだよ!遅くなったけど」
そう言いながら、包みを開き、中身を信長様と秀吉さんに見せる。
「ほぅ…」
「これ…」
信長様は、面白いものを見たみたいな笑みをこぼし、
秀吉さんは目を見開く。
「お使い、遅くなってごめんなさい…。頼まれてた金米糖、いっぱい買ってきました!」
陽菜は、嬉しそうに微笑み、秀吉は………
「…っ、陽菜……遅いぞー!」
涙ぐみながら、陽菜の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「秀吉のあんな顔、初めて見たな。」
「いいものを見た。これで何か言われたときに引き出してやるか」
「それ、弱味握って、脅迫しようとしてません…?」
政宗、光秀、家康は、上座を見ながらこんな会話をしていた。
「500年後の金米糖か…食べるのが楽しみだ。」
「信長様、食べ過ぎはお身体に障ります!」
ニヤリと笑う信長に、秀吉はすぐに小言をこぼす。
「せっかく陽菜が買ってきたんだ。ひとつぐらい食わせろ。」
「…今回は特別ですよ。」
秀吉の了承を得て、信長は包みに手を入れる。
透明の小袋に色とりどりの金米糖がたくさん入っているが、
「これはどうやって食べるものだ?」
袋の開け方がわからない。
陽菜が信長の手から小袋をとり、袋の上部分を摘まみ左右に引く。と、綺麗に袋の口が開いた。
信長の手の平に、3粒ほど出す。
1つ摘まみ、食い入るように金米糖を観察する。そして、家康の方を見て、家康と目が合うと、ニヤリと笑い……
「(なんか、嫌な予感……)」
家康が、眉間に皺を寄せると
「陽菜、食うか?」
陽菜の唇に、金米糖を持った指を押し付けた。