第67章 恋から愛へ《26》家康side
「…今、世界一で一番の幸せ者かも…。これからもよろしくね。」
そう言った満面の笑顔で抱きついてきた陽菜。
その笑顔は、夢で見た笑顔と一緒だった。
「(夢で途切れながら聞こえた言葉は、このことだったのか…)」
「…もっと陽菜のこと幸せにするから…」
「ん……」
俺の決意を伝え、もう一度陽菜の柔らかい唇に口づけをした。
宴までの時間、陽菜を休ませたいと思ったが、もう少し一緒に居たいのが本音。
陽菜も一緒に居たい。と言ってくれたから、陽菜と一緒に薬箱を部屋に戻しに行き、そのまま俺の部屋で宴までの時間を過ごすことにした。
「そういえば、気になってることがあるんだけど…」
「ん?何?」
陽菜が来世から戻ってきたら、聞こうと思っていたことを聞く。
「…前、陽菜が落とした山吹色の御守り…あれって陽菜の?」
「え…?あぁ、まぁ……一応、私の?かな?」
なんだか歯切れが悪い。一応って?と聞くと
「…元々は家康に渡す予定のものだったんだけど……」
あの山吹色の御守りこそ、風邪をひいて、看病をしてくれたお礼に作ったものだったらしい。
だけど、今川の残党たちに追われてたときに、落として汚れてしまったから、渡すわけにはいかなくなり、大事に持っていたらしい。
「……ごめん…あのとき、俺があんなこと言わなければ…」
「え?違うよ!今、思えばかなり歪んでいたから、あの御守りは渡さなくて良かったと思ってるから!家康のせいじゃないよ。」
陽菜が、慌てて否定をするが、俺は腑に落ちない。
「それに、一度でも家康の手に渡ったから、それだけで充分なの。あの御守りのおかけで家康に助けてもらったから。」
私と家康を繋げてくれたものだから、大事に持ってるの。とはにかんで答えた陽菜
「(…何、その可愛い理由……)」
グイっ!!
陽菜の後頭部に手をやり、自分の方へ引き寄せ、噛みつくように口づけをする。
「っ!…っふ……ん…///」
宴に行くまでの間、俺は陽菜との口づけを堪能した。