第66章 恋から愛へ《25》
「…陽菜が安土に来て間もない頃に、救護兵として戦に同行したでしょ。勉強も頑張って、野営地でも臆せず頑張ってたから……その、褒美…」
「え?」
最後の言葉はかなり小さい声で、聞きとりにくかったけど、褒美って聞こえた。
陽菜からすれば、戦が終わった日、家康に褒めてもらえたことが、何よりのご褒美だったから、もうすでに褒美は貰っている。
「こんなに素敵なもの、…いいの?」
「…俺がいいんだから、いいよ……」
家康は、少し恥ずかしいのか、そっぽ向く。
「……ありがとう…」
家康にお礼を言って、ジーっと髪飾りをみる。
とても精巧にできていて、よくよく見ると花の中央には、小さいが真珠も付いている。
「(可愛い…)」
髪飾りが可愛いのもあるが、家康からのプレゼント。
嬉しくて頬が緩む。
ジーっと髪飾りを嬉しそうに見ていると、家康に髪飾りを取られ
「つけてあげるから、じっとしてて」
頷いて、纏めていた髪をおろす。
左耳の少し上のところに髪飾りをつけてくれた。
「ど、どうかな…?」
緊張しながら、家康の顔見ると、家康は、目元を赤らめ、目線を少し私から外して
「…よく似合ってる……」
ボソリと褒めてくれた。