第7章 動き始めた恋心〈5〉家康side
「何するの!!!!」
陽菜は顔を真っ赤にして怒りだした。
政宗さんはそんなことお構い無しだ。
陽菜は恋人同士じゃないと駄目だとか、なんかいろいろ言ってる
「半分は本気なんだけどな」
「残り半分冗談じゃん!とにかく、私はこういうのは好きな人としかしないの!!」
「わかった、わかった。悪かったって。帰ったら、なんか旨いもん作ってやるから…そう怒るな」
「う~~~!!!!!」
頬を膨らませて陽菜は拗ねる
「じゃっ、俺は行くわ。」
政宗さんは、手をヒラヒラしながら天幕から出ていった。
…政宗さんは姉妹のことをかなり気に入ってるようで、揶揄っている姿を何度か見たことあるが、なんとなく陽菜と香菜とで見る目が違う気がする。
「(……さっきの口づけといい、なんか気に入らない…)」
「……………………」
眉間に皺がより、かなり不機嫌になる。
そんな俺を見て、陽菜がおずおずと声をかけた。
「家康さん、あの……手当てしますね………」
「…………いい」
完全な八つ当たり
陽菜は悪くないのだが、どうしても当たってしまう。
「……あ、じゃあ、救護の方、誰か呼んできます。私より慣れてる方のがいいと思うし……」
明らかに悲しい声
「(…そういう声を聞きたいわけじゃない…)」
咄嗟に
「………いい」
と答えたが、自分でもどうしたいのか、よくわからない
解らぬまま行き着いた答えは
「…自分でやるからいい。道具だけ置いといて」
「え?でも怪我したの肩なんですよね?片手じゃ出来なくないですか?」
……確かに片手じゃ厳しい。薬は塗れても、包帯は無理だ。
「………………(ジー…)」
思わず陽菜をじっと見た
「??家康さん??」
困り顔と上目遣いでコテン。と首を傾げる
っ///!!!!
そのしぐさに、俺のなかで何かが動いた気がして、さっきまでの苛つきや八つ当たりもどっか行き
「やっぱり陽菜にお願いする……」
とお願いした。