第66章 恋から愛へ《25》
「…好きだ……」
「(え…)」
家康に告白したけど、何も言わないで顔を背けた家康に、胸の奥がひやりと冷たくなって…
顔を背けるぐらい迷惑だったんだと思って、急いで私の告白を無かったことにしようとした。
でも、家康に抱きしめられ、そして……
告白されるとは思わなかった……
「…う、そ……」
「嘘じゃない。俺がこんな嘘つく人間だと思ってるの?」
家康がこんなことで嘘をつく人じゃないのはわかっているから、フルフルと左右に顔を振る。
すると、家康の翡翠色の目が、さらに真剣な目になり
「陽菜、好きだ。俺のそばにいてほしい。」
その言葉に、私は口を両手で覆い、少しおさまっていた涙が、また溢れだし、瞬きをした瞬間に涙が流れた。
家康の指がまた涙を拭って、涙が流れた跡を指で優しく滑らせ、口を覆っている私の両手をとり
「…返事…聞かせて……」
切なげに揺れる翡翠色の目、微かに不安も混じっている。
私は、泣きながら微笑み、
「…好きです。家康のそばにいさせてください。」
返事をした