第65章 恋から愛へ《24》家康side
「…え……?」
「…絶対、忘れない……」
陽菜に少しでも安心してもらえるように、抱きしめている力を少し強める。
「い、えや、す…?」
陽菜の声が、俺の耳元で聞こえる。
声と微かに耳元にかかる陽菜の息に、鼓動は速まり、なんとか必死に気持ちを落ち着かせながら、陽菜の肩を掴んで、ゆっくりと体を離していく。
涙は流れていないが、陽菜の目尻に溜まっている涙を指で拭う。
速まっている鼓動は、さらにバクバクと速まり、心臓の音も陽菜にまで聞こえるんじゃないかというぐらい大きくなっている。
陽菜に気づくかどうかわからないぐらいの、小さく息を吸い
陽菜の顔を見て
「…好きだ……」
俺の想いを告げた。