第64章 恋から愛へ《23》
「え…?」
家康のキョトンとした声
そーっと目を開けると、私の手から御守りを受け取り、御守りをジーっと見る。
「……すごく、遅くなったんだけど…お礼です……」
勉強を教えてくれたこと
風邪ひいたときに看病してくれたこと
怪我の手当てをしてくれたこと
「……あと、いっぱいお世話になった感謝の気持ちと、家康が無事でありますように。って、願いながら…作り、ました…。」
「………」
言ってて気づいた……
私の御守りを預かっていたし、前にお姉ちゃんが家康の羽織を修繕したから、お姉ちゃんの腕前がどれくらいなのか家康はわかっている。
自分の中では、かなり上手に出来たけど、お姉ちゃんと比べると、やっぱり不恰好な出来……
「(……貰っても…嬉しくないし迷惑だったかも…)」
作っていたときは、お礼をしたい気持ちが強くて
現代に戻ったら、渡せなかったことに後悔して
こっちに戻れるってわかったら、渡したいと思っていた。
だけど、いざ渡すと、渡してよかったのかと不安になる。
「(渡したもの返して。なんて言えないし…)」
家康が何も言わないので、さらに不安は増していく。
だんだん顔が、俯いていったとき……
「ありがと…大事にする。」
家康のお礼の言葉が耳に届いた。