第64章 恋から愛へ《23》
家康に遮られ、振り絞った勇気がフシューと萎んでいった。
「な、何?」
大事なことかもしれないから、家康の話を聞くことにする
「手、出して」
「へ?手?」
なんで?と思ったが、家康に言われたとおり、手のひらを上にして片手を出す。
すると、家康は懐から何かを取り出し、出していた私の手をとって、その上に何かを置いた。
家康の手が離れ、置かれたものを見ると
「え…なんで……」
私の手の上に乗っていたのは、
お姉ちゃんが私のために作ってくれた御守りだった。
「(現代に戻ったときに、探したけど無かったのは…こっちに忘れてたんだ……)」
家康のために作った2つの御守りは、懐に入っていたが、香菜に作ってもらった御守りだけ無かった。
本能寺跡地で探したが見つからず、陽菜は諦めていた。
「……香菜に、陽菜が戻ってくるまで俺に預かっといてほしい。って言われてたから…」
「…ありがとう……」
御守りがあったこと
家康が預かっといてくれたこと
2つの嬉しいが合わさって、涙が出そうになった。