第63章 恋から愛へ《22》家康side
……………
が、返事はない。
久しぶりに会った香菜と、話が盛り上がって、まだ湯殿にいるんだろう。
勝手に入るわけにはいかないから、陽菜が戻ってくるまで、部屋の前で家康は待つことにした。
暫くすると、
「家康っ!ごめんなさい!待たせちゃって!!」
パタパタと走りながら、謝罪する陽菜の声。
「やっときた…。」と思い、陽菜の方へ振り向くと
「(っ!!///)」
薄黄色に少しだけ緑がかった色地に、白と山吹色のグラデーションの百合の花が、いくつか織り込まれた小袖を身に纏う陽菜。
さらには湯浴み上りで、頬はうっすらピンク色、髪はしっとりと濡れて、ひとつに纏め上げている
可愛さもあり、女の色気も漂わせているその姿に、家康は目を見開き、すぐに目線を逸らす。
「(……ちょっと…あの姿は…いろいろとまずい……///)」
胸の鼓動が、かなり速くなった。
待ってる間、まだ?早く来い。など不満が沸き上がっていたが、陽菜のその姿に、不満は一気に吹き飛んだ。
だが、待っていたのは事実。
「……遅い」
不満だけは呟いた。