第63章 恋から愛へ《22》家康side
陽菜がずぶ濡れのため、横抱きで湯殿まで連れているのだが……
「(軽すぎる……)」
以前、今川の残党に狙われたときに、陽菜を背負って帰ったときも、軽いと思ったけど…
あのときは、雨に打たれている時間が長すぎたからか、着物はズッシリ重くなっていたし、陽菜はすぐに眠っていたし……
ここまで軽いと思わなかった。
チラリと陽菜を見ると
「……///」
恥ずかしいのか顔は真っ赤。
左手で珍妙な入れものを抱きしめ、右手は俺の着物を少し掴み、顔は少し俯いていた。
湯殿につくと、家康は陽菜を降ろす。
陽菜が裸足で走っていたのを心配し、怪我をしているか一応診るから。と、湯浴みが終わったら、部屋で待っててもらい、半刻すぎに部屋に行くことを伝え、家康は安土城に設けられている自分の部屋に向かった。
その途中、香菜と会い、嬉しそうに
「良かったですね!」
とニコニコしながら言われたので
「…あんたもね……」
と言っといた。