第62章 恋から愛へ《21》
「ご、ごめんね!久しぶりだから、つい話が盛り上がっちゃって…」
「…まぁ、そんなことだろうと思ってたけど……」
「…すみません……」
シュンと落ち込むと
「ほら、湯冷めするから部屋に入るよ。」
「あ、うんっ!」
襖を開けて、家康と部屋に入る。
3ヶ月振りに入った部屋は、私が居なくなる前と同じ状態だった。
信長様が、少し実家に帰っているだけだから、そのままの状態にしておくように。と女中さんたちに言ってくれてたようで、いつ帰ってきてもいいように、女中さんたちが毎日掃除をしてくれていた。と家康に教えてもらった。
鞄を文机の上に置き、家康の羽織を、衣桁に掛け乾かす。
「…別にそのままでもいいけど。」
「でも、私のせいで濡れちゃったから……少しでも乾かさないと…」
こういうときにドライヤーがあればラクなんだけど……
まぁ、びしょ濡れではないから、そのうち自然と乾くかな…
「それより、足見せて。怪我してないか診るから」
「大丈夫だよ…」
「いいから」
有無を言わさない家康の言い方に、私はしぶしぶ家康の前に座り、足を出した。