第62章 恋から愛へ《21》
パタパタパタ………
「(長湯しちゃったっ!!急がないとっ…)」
急ぎたいのは山々だが、久しぶりの着物で、やっぱり走りにくい。
少しでも急ごうと小走りで廊下を走り部屋に向かう。
「(お姉ちゃんは秀吉さんに、途中呼ばれたし……)」
一緒に湯殿を出て、廊下を歩いていると、秀吉さんと会い、真剣な顔で
『少し話したいことがあるんだが…いいか?』
と、二人でどこかに行ってしまったのだった。
「(とりあえず、私は急がないと!)」
パタパタと小走りで廊下の角を曲がると、
部屋の前で家康が待っていた。
「家康っ!ごめんなさい!待たせちゃって!!」
走りながら、謝罪の言葉を言うと、私の声を聞いてこちらに振り向いた家康が私を見て
目を見開いた。
でも、すぐに目線を逸らして、
「……遅い」
ボソっと不満を呟かれたが、家康の目元が少し赤くなってるのが見えた。