第7章 動き始めた恋心〈5〉家康side
織田軍の支城をすでに守り切った政宗と家康
敵兵が勢いを盛り返す前に、敵陣へ切り込んで
総崩れの状態まで追い込んでいた。
「これ以上は無理ですね。夜になると、目が利かなくなるし同士討ちの可能性が出てくる。一時撤退ですね。」
「もう終わりかよ。暴れ足りねーよ」
「足りなかった分は明日してください。」
政宗と家康は野営地へ戻っていった。
「(陽菜は大丈夫だったかな。あの子なら、たぶん大丈夫だとは思うけど……)」
戦ってる最中は、一切陽菜のことなど考えてなかったのに、戦いから離れた瞬間、陽菜のことを考えてる自分自身に驚く。
「(あんなことしたから、考えるんだ。てか、なんで俺はあんなことしたんだ…)」
――戦が始まる前―――――
陽菜に救護の責任者を紹介し、天幕から出ようとした時、
「家康さん、あの…お気をつけて」
陽菜に、そう声をかけられ、思わず振り替えって陽菜のところまで戻り
「陽菜も頑張って」
ポンポン…
「じゃあ、戻ったらここの様子見に来るから」
「あ…はい」
そう言って天幕から出た。
瞬間
気づく
「(!何してんの俺!?)」
ほぼ無意識に陽菜の頭を撫でていた。
「(~~っこれは、陽菜の師として、励ましただけで!他意はない!!)」
必死に気持ちを落ち着けようと、何度かため息を吐き、陽菜の頭を撫でた手を握りしめ、出陣していった。