第6章 動き始めた恋心〈4〉
「手当てするんで、羽織脱いでもらっていいですか」
「わかった」
羽織を脱いでもらい、手当てをする
「はい。出来ましたよ」
「……どうも」
「いえ!」
手当てが終わり、家康さんは羽織に腕を通す。
にしても、
「(さっき、手当てするの断られたとき、なんであんなにショックだったんだろ……あれぐらいの言い方なら勉強中にも、たくさん受けてたから慣れてるはずなのに……)」
片付けながら、チラッと家康さんを見ると
「(あ…)」
「家康さん、頬のところも怪我してますよ。」
「え…?」
「うっすらですけど、刀の先が擦ったんですかね。一応、薬塗っときますね」
指先に少量の薬を取って、家康さんの頬にチョンチョンとつける。
と……
「っ!!!!//////」
「え?」
顔を真っ赤にしてガバッ!と家康さんは立ちあがり
「~~~~…怪我した兵達の様子見てくる!!」
と言って急いで天幕から出ていった。
「………………へ?」
な、なんであんなに赤くなるの!?
「急に、顔触ったのがまずかったかな……」
なんか怒らせた?
でも、怪我してたし……
「あとで謝った方がいいかな…」
と、片付けをしてから、私も救護の天幕へ向かった。