第61章 恋から愛へ《20》家康side
陽菜が居なくなって、戦に行っていたとき以外は、毎日城下を探し回り、1日に何度も空を見上げて天気を確認していた家康。
正直、陽菜はもう帰ってこないのでは……と、何度も諦めそうになっていた。
香菜から、陽菜のことを信じて待っていて。と言われても、晴れている空を見て、何度も重いため息を溢していたのだった。
だが、今は……
「(おかえり。陽菜…)」
抱き合う姉妹の姿を見て、ようやく、家康は安堵の息を溢した。
「陽菜、よく戻ってきたな。」
信長様の声に反応した陽菜は、香菜からゆっくり離れ、俺たちの方へ向く。
「っく…のぶ、なっ…が、さま……みん、な……っひく…」
俺たちの顔を見て、さらに泣き出した陽菜。
だけど、手で涙を拭って
「今、…っ…帰って…っ、きました…っ」
涙混じりの声で、泣いて目も真っ赤だけど、満面の笑顔を俺たちに見せてくれた陽菜
久しぶりに見た陽菜の笑顔に、家康の頬が緩んだ。