第60章 恋から愛へ《19》
「陽菜さん!!」
佐助くんの手に触れそうになったときに、雷が落ちて、一瞬
『帰れない…?』
と思って、手から力が抜け落ち、涙が溢れ落ちそうになった瞬間
ぱしっ
グイっ!
「(え?)」
手を掴まれて、勢いよく引っ張られた感覚に、うっすら目を開けると、モヤモヤとした渦みたいなところに佐助くんといた。
「…佐、助、くん……?」
「向こうで忍になって良かった。瞬発力がこんなにもレベルアップしていたとは。」
「へ?」
レベルアップ…?急に話が違う方向にいって、涙も少し引っ込んだ。
「陽菜さん、雷が落ちた瞬間はワームホールが開く2秒前。俺が陽菜さんの手を掴んだときに、ワームホールが開いたよ。」
「え?じゃあ…」
佐助くんが、口角を少し上げて
「あぁ。戦国時代に戻ろう。」
笑ってくれた。
「(…帰れる……)」
それが嬉しくて、少し引っ込んだ涙が、また溢れ、陽菜の目尻から少し涙が溢れ落ちた。
その瞬間
陽菜たちは、また眩い光りに覆われた。