第59章 恋から愛へ《18》家康side
「いえ!決して怪しいものでは…」
「何言っている!奇妙な格好をして、その手に持っているものも……十分怪しい!!」
家臣と誰かの声が聞こえ、急いで中庭まで向かう。
「何事だ」
「御舘様!怪しい男が、侵入してきましてっ!」
「いえ…確かに怪しく見えるかもしれませんが、怪しくないです…」
訳のわからないことを言っている眼鏡の男。信長様は家臣を下がらせる。
そして、その男の顔を見て、
「佐助くん!?」
香菜が声をあげ
「やぁ、香菜さん。久しぶり。」
無表情で片手を上げる『佐助』という男
「……お姉、ちゃん…」
白い羽織みたいなのを肩に羽織り、その羽織をギュッと握った、ずぶ濡れ姿の陽菜が、佐助の後ろから出てきた