第59章 恋から愛へ《18》家康side
「あっ、すみません!濡れますね!すぐに閉めますっ!」
香菜が、焦ったように廊下に出て襖を閉めようとしたとき、
「待て」
信長様の声が、広間に響く。
「…少し遠いが雷が聞こえる。」
「え?」
雷なんて聞こえたか?と思い、全員が口を閉じ、耳に神経を集中させると
……………………ゴロ………
微かに、雷の音が聞こえたが、かなり遠い。
陽菜が居なくなったときの、嵐みたいなものとは、ほど遠いから、今回も違うのだろうかと思い、ため息をつこうとした瞬間
ザーーー………!!
雨足がいきなり強くなった。
「……かなり強くなってきたな」
「まさかっ!?」
「あり得るな。この三月ほどは、雨が降っても小雨程度。ここまで激しいのは、陽菜が居なくなったとき以来だ」
全員、広間から廊下に出て、俺達と香菜は、固唾を飲んで空を見上げる。
ザアァァーーー………!!!
……ゴロ、ゴロ…ゴロ……
次第に雨はどしゃ降り、雷もだんだん近くなっている。