第58章 恋から愛へ《17》
――……陽菜…
夢で見た、手を差し出してくれた家康の姿が、頭の中に思い浮かび
「(…い、えや、す……)」
『ほら、早く……』
帰っておいで
優しい声で、優しい微笑みで、家康が頭の中で語りかけてくれた気がした。
涙で前がボヤけそうになるのを、目を瞑って顔を軽く横に振り、目を開ける
「陽菜さん!!」
手を伸ばして、佐助くんの手と、触れそうになったとき
…ゴロ…ゴロ、ゴロゴロ…
ドオォォォーーーーーーーン!!!!
すぐ近くに雷が落ちて、辺り一面がまっ白になり、その眩しさに陽菜はギュッと目を閉じた。