第58章 恋から愛へ《17》
ゴロ……ゴロゴロ……ゴロ…
ザーーー………
先ほどより雷が近づき、雨足もかなり強くなっている。
バシャッ!バシャッ!バシャッ!
「(あの角を曲がって少し真っ直ぐに行ったら…!)」
本能寺跡地に着く。
陽菜は必死に足を動かし、曲がり角を曲がると、少し先にある本能寺跡地の前で、白衣を着た佐助の姿を見つけた。
「佐助くん!!」
走りながら、佐助くんの名前を呼ぶと、佐助くんはこちらに振り向き、
「陽菜さん!急いで!!あと1分で!!」
その言葉を聞き、もう少しで戻れる。と思うと、涙が出てきて、足が縺れそうになっても堪えてひたすら走る。
……ゴゴゴゴ…
「あと30秒!陽菜さん!」
佐助くんが手を差し出してくれ、その姿が、今朝みた夢の家康と被る