第58章 恋から愛へ《17》
《佐助side》
陽菜と現代に帰ってきてから、乱世に帰るために、ワームホールの研究をしていた佐助。
最初の1ヶ月は、ワームホールが現れる気配は全くなかった。
だが、帰ってきてから1ヶ月半が過ぎたころ、ワームホールの反応が少しずつ出てきた。
でも、出たり消えたりを繰り返していたので、期待している陽菜にはなかなか言えずにいたのだが、だんだん反応が強くなっているのに気づき、日時などを割り出すために、陽菜との連絡を断っていた。
なかなか割り出せなかったが、今日の朝にワームホールが強く反応を現し、急いで時間を割り出したが、ハッキリとわかったのが、ワームホールが現れる30分前。
急いで陽菜に電話をしたのだった。
「…あと、5分……陽菜さん……」
腕時計で時間を確認し、空を見上げる佐助。
あれだけ晴れていた空の雲行きが10分前から怪しくなり、次第に雨が降りはじめ、今では雨足が強くなっている。
もう一度、腕時計で時間を見る。
「…陽菜さん、早く……」
…………ゴロ………ゴロ……
遠くで雷も鳴りはじめた。
陽菜がやってくるだろう方向を見て、佐助は陽菜が来るのを待っていた。