第58章 恋から愛へ《17》
バシャッ!バシャ、バシャッ!……
ザーー………
「……っはぁ、はぁ…」
雲行きが怪しくなっていた空は、本能寺跡地に近づくにつれ、だんだん空模様が悪くなり、雨が降りだして、今は雨足も強くなった。
陽菜は、びしょ濡れになっても気にせず、本能寺跡地まで急いだ。
「(お姉ちゃん…家康……みんな……)」
走っている間、考えているのは、みんなに逢える。ということだけ。
だが、ずっとヒールで走り続けているから、足も痛くなり、スピードも落ちていく。
このままじゃ間に合わないと思い、途中でパンプスを脱ぎ、脱いだパンプスを鞄の持ち手の間に挟んで、陽菜はまた走りだした。
「はぁっ……はぁ…あと少し……」
………ゴロ……………ゴロ…
まだ遠いけど、雷も鳴りはじめた。
「(初めてタイムスリップしたときも、雷が鳴りはじめて、少ししたら近くに落ちたから…急がないと)」
香菜と一緒にタイムスリップする直前のことを思いだし、陽菜は急いだ。