第57章 恋から愛へ《16》家康side
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『……時間作って、くれたのに、、ごめん、な、さい……』
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「(あんな声、もう出してほしくない……)」
陽菜が来世に帰ってから、陽菜に会いたいという願望からか、夢によく陽菜が出てくる。
しかし、大半があのときの震えた声や、泣き顔で、笑顔の陽菜は、あまり出てこない。
だが、今朝みた夢では………
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――………家康……
――………陽菜…?
――…………今…………から……――
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陽菜が笑って、手を差し出してきて、その手を掴もうとしたときに目を覚ました。
あのときの、俺が冷たく追い払ったときに聞いた声じゃなくて、すごく嬉しそうな声だった。
そして夢のなかでだが、陽菜の笑顔を見れたからか、家康は普段より目覚めもよく、起き上がり襖を開けると、雲ひとつない晴天が空に広がっていた。