第56章 恋から愛へ《15》
その場にしゃがみこみ、金米糖の小袋をひとつ手に取る。
あの時代じゃ、金米糖は珍しい食べ物みたいで、なかなか手に入らないって、秀吉さんが言ってた…
「……頼まれたお使いも、ちゃんと出来なかったな…秀吉さん怒ってるかな…」
手にとった金米糖をカゴに入れ、棚に並ばれている小袋に入ってる金米糖も、あるだけカゴに入れレジに並んでお会計を済ませた。
家に帰って、買った食材を冷蔵庫に入れ、金米糖の入った小袋を机の上に出して、いくつあるか数える
「……26、27、28、…28!
けっこう買ったな……」
小袋で売っていたとはいえ、28袋も買えば、なかなかの値段だった。
しかし、小袋でも中はぎっしり詰まっていた。
それが28袋もあれば、なかなかの量である。
金米糖を買い占めたが、帰れるかは正直わからない。
でも、今朝見た夢のおかげでか、陽菜は希望を少し抱いていた。
大量の小袋をビニール袋に入れて、ひと纏めにし、いつでも帰れるように鞄の中に入れ、陽菜は晩ごはんを作り始めた。