第55章 恋から愛へ《14》家康side
《秀吉side》
信長が不在の間、秀吉は安土の警備と日々の公務代理、そして香菜の護衛を任されていた。
「秀吉さん……私、お仕事の邪魔じゃないかな?」
「いや、そんなことはない。それに俺は信長様から直々に香菜の護衛を任されたからな。そばにいてもらわないと困る」
あの嵐のとき、香菜が巻き込まれなかったのは、城内にいたからだと、三成が推測をたてた。
それなら三月経つまでは、香菜はなるべく外に出ないように言い、何かあったときに守れるよう、秀吉が護衛に任命されていたのだ。
「うん……信長様達は…大丈夫かな…」
信長様達は、顕如の根城である古寺を包囲したと、今朝、家臣から報告を受けた。
だが、敵の総数は当初は五千と見込んでいたが、今川の残党どもを全土からかき集めたらしく一万を超えているようだ。
「心配するな。信長様達が負けるわけないだろ。」
「うん…」
香菜を励ますが、香菜は心配でたまらないのか、顔を俯ける。
「(そうはいっても…心配だよな…)」
俺だって、今すぐにでも信長様の側に飛んでいきたい。あの方のそばにいて、役に立ちたい。
だが、信長様は俺のことを信じているからこそ、安土に残し、香菜の護衛を任せたのだと思う。
「こら、そんな顔するな」
「わっ!?」
香菜の頭をなで回す