第55章 恋から愛へ《14》家康side
安土を発ち、数日して
「ようやく来たか。先に始めるところだったぞ。信長。」
上杉謙信と合流した。
「ほぅ。それは待たせて悪かったな。」
信長様がニヤリと笑う。
「光秀、顕如の軍勢はどうなっている」
「はい。当初かき集めで五千ほどでしたが、今川の残党達も全土からかき集め、その数、一万を超えます」
ピクッ…
「(今川の残党が……)」
「ほう。顕如のやつ、今川の残党までかき集めたか。余程俺の首が欲しいみたいだな。」
光秀さんが話すには、今川の残党達が信長様と俺を狙うために安土に潜んでいたのを、顕如がどこかで知ったようだ。
だが、それも失敗に終わり、仲間が俺に捕まえられたという情報を教え、復讐のために集結させたらしい。
「なるほど。顕如だけでなく今川の残党までもいますか。そうなると厄介ですね……顕如は死を覚悟したもの、今川は復讐のため。守るものがない彼らは、後先考えずに玉砕覚悟で攻めてくるでしょうね……」
三成の言う通り、確かに死を覚悟したものは、どんな行動を起こすかわからない。