第54章 恋から愛へ《13》
「……それより、なんで家康の名前が出たの?」
佐助くんに、戦国時代に残る理由は『大切な人』が出来たからとは言ったけど、家康の名前は出していないはず……
「陽菜さん、この時代に戻ってショックを受けていただろ。泣きじゃくりながら、かなり家康公の名前を言っていたんだ。それに家康公のことは、俺から聞かないと話さなかったから、もしかして離れてしまったから辛くて話せなかったんじゃないかと思って。」
「………そっか……声にも出して、自分から話そうとしなかったら、さすがにバレるよねっ!」
自分でも、こんなに分かりやすい行動をしていたとは思わなかった。
「……でも、そのおかげで……」
「え?」
「いや。なんでもない。それと、ワームホールのことだけど、まだ割り出せないんだ。時間がかかってしまって本当にごめん。」
「ううん!私こそ何も出来なくてごめんね!佐助くんにまかせっきりで……」
何か手伝いたくても、こればっかりはどう転がしても
手伝えることがなさそうで申し訳ない…。
「そんなことないよ。こうして行き詰まったときに、話し相手になってくれて助かってる。向こうの時代のことをわかってくれるのは、この時代では陽菜さんしかいないからね」
「うん。これくらいのことしか出来ないけど、話し相手にならいくらでもなるから!いつでも言ってね!」
「あぁ、ありがとう」
佐助くんと別れ、まっすぐ家に帰り、鞄から2つの御守りを取りだしベッドに座る
「早く帰れますように…」
御守りにお願いし、私はベッドに倒れこんだ。