第54章 恋から愛へ《13》
「――……で、謙信様を助けて、そのまま仕えることになったんだ。」
タイムスリップしてそろそろ2ヶ月、今日は佐助くんのお話を聞いている。
「へぇー…そうだったんだ…。じゃあ、謙信様に仕えるようになって、信玄様と幸くん達と同盟を組むことになったの?」
「そう。謙信様と信玄様は元々はライバルだったんだけど、打倒信長様という目標が同じで、同盟を組んだ……あ。織田軍にいた陽菜さんには、あまりいい話じゃなかったね…。ごめん。」
佐助くんが申し訳なさそうに謝罪したので、慌てて止める。
「ううん!気にしないで!私も、佐助くんに謙信様達の事情を聞くまで、謙信様達のことをあまりよく思ってなかったから……私こそごめんね…」
「いや、戦に同行してたから、余計に敵側のことを悪く思ってしまうのは仕方ないよ。むしろ陽菜さん、戦に同行して大変だったね」
「え、あ、うん。でも救護兵としてだから…」
「しかも、家康公のもとで薬学のことを学んでいたんだろう。ファンとしては羨ましすぎるシチュエーションだ。」
佐助くん……無表情だけど、声のトーンが少し上がっているから、たぶん本当に羨ましがられてる…
「佐助くんは、謙信様達とどんなことしてたの?」