第53章 恋から愛へ《12》家康side
「…なるほど、そういう経緯で、軍神達が安土に居るのか」
光秀さんにことの経緯を話す。
「光秀、顕如はどうだ。」
「兵もまもなく集めきる頃です。そろそろ出陣しようと動き出そうとするでしょう。」
「待て。信長。お前は俺の相手をしろ。」
「あんた、話聞いてたんですか?」
信長様が考え込み、しばらくするとニヤリと笑い謙信の方へ向き
「いいだろう。謙信、相手をしてやる。」
「信長様!?」
「話がわかるやつだ。今すぐ刀を抜け。」
流れる動作で謙信が刀に手をかけるが
「だが、今ではない。」
「なに?」
謙信の眉間に皺が出来、信長様を睨む。
「貴様との戦いは、顕如討伐が終わってからだ。貴様との戦いを顕如に邪魔はされたくないだろう。」
「……なんだと」
謙信の顔がますます険しくなる
「それに退屈しているなら顕如討伐に貴様も来るか。早く終わって、その分早く俺と一線交えれるぞ。」
「………」
その言葉に謙信は考え……
「……いいだろう。佐助不在で、姫鶴一文字の相手をするものがいなくて退屈しているからな。良い退屈しのぎになるだろう。」
「おい、謙信。俺は反対だぞ。信長と一緒に戦うなど…」
「構わん。お前と幸村は春日山で待てばよい。信長、お前との戦いのために、顕如討伐時だけ、手を組んでやる。」
こうして、謙信と一時協定を組むことになった。