第6章 動き始めた恋心〈4〉
――戦が始まる前―――――
「陽菜です。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、お願い致します。陽菜様。」
家康さんに救護の責任者の方を紹介してもらった。
「俺が不在のときに一任している奴だから、わからなかったら教えてくれる。」
「はい!」
「じゃあ、あとは任せた」
「承知しました。」
家康さんが天幕から出ようとした時、
「家康さん、あの…お気をつけて」
思わず声をかけたら、家康さんが振り替えって私のところに戻って
「陽菜も頑張って」
ポンポン…
………え……
「じゃあ、戻ったらここの様子見に来るから」
「あ…はい」
そう言って今度こそ天幕から出ていった。
………………初めて名前呼ばれた
………ていうか、頭ポンポンされた
……………………
…………
…
「っ~~/////」
馬に乗って来た時より顔が赤くなる。
「(頭ポンポンなんて、秀吉さんによくされるけど、こんな風にドキドキしなかったよ!)」
ん?よくする…?
「(そうか。今までされたことないからビックリしただけだ。)」
私は手でパタパタしながら、顔の火照りを落ち着けていた。