第53章 恋から愛へ《12》家康side
陽菜が居なくなって一月半
そして、香菜がこの時代にやってきて三月が経とうとしていた。
「香菜が来て三月……佐助の計算通りなら、現れるはずだが……」
「雲ひとつない見事な晴天だな。」
広間の襖を閉めずに、外を見る武将達。
「でも、あのときも急に降ってきませんでした?」
「言われてみりゃそうだったな。」
「私達がタイムスリップしてきたときも、晴れてたのに急に降ってきました。佐助くんの計算通りならいいんだけど……」
「香菜は当分外に出るな。貴様が変に巻き込まれて陽菜とすれ違いになったらお互い辛いものになる」
「はい……」
「こんな状況だが、顕如との戦いは避けられん。明日には安土を発つ。秀吉、留守は任せたぞ。」
「御意。何かありましたら、すぐに早馬で連絡いたします。」
そう。明日から俺たちは顕如討伐に向かい、秀吉さんは信長様の代わりに安土を守る役目を担った。
そして、この顕如討伐に、軍神――上杉謙信も出陣する。