第52章 恋から愛へ《11》家康side
謙信達を連れて広間に入り、信長様に事情を伝える。
「佐助が居ないのならば仕方ないが、あのときのような嵐が起こるまで待つしかあるまい」
「おい、信長。お前は一体何の話をしている。」
謙信が刀の鍔をカチリと指で押し上げる。
その動きを見ていた秀吉さんが、立ち上がろうとしたのを、信長様は片手をあげ、秀吉さんの動きをとめた。
「貴様らにも話しておく。佐助という忍のこと……」
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「信長、そんな話を信じろというのか?その女のでまかせを」
「だが、一月以上も戻っていないのだろ。それが何よりの証拠ではないか。」
「だからといって、500年後から来ました。なんて話信じれるわけねーだろ。」
「だけど、佐助はたまに聞きなれない言葉を言うときがあるぞ。なんだったか……『えぬじー』とか…」
「あぁ言ってましたね。『駄目、絶対』って意味だって。」
「香菜、聞き覚えある言葉か?」
「……はい。」
コクリと頷く香菜
「そういえば出会ったときも変わった着物を着ていたな。」
その言葉を聞いて、信長様の横に座っている香菜が
「あの……そのときの佐助くん、もしかして白衣…じゃないや、えっと……真っ白な羽織で袂がない袖のものを着てませんでした?」
「そういえばそんな感じだったな。」