第51章 恋から愛へ《10》
「あ、もうこんな時間か…そろそろ大学の研究室に戻らないといけないんだ。すまない」
佐助くんが、腕時計で時間を確認すると、伝票を持って立ち上がる。
自分の分は自分で払おうと、財布を取りだそうと鞄の中を探すが
「この前誘っておきながら、ごちそうできなかったから、ここは俺が。」
「この前?」
「タイムスリップする直前だよ。金米糖もそういえば買えなかったね。」
そういえば、金米糖買ったあとにお茶をごちそうする。って言ってた。
「言ってたね。じゃあ、お言葉に甘えてごちそうになります。」
お礼を言うと佐助くんはお支払をしに行った。
「佐助くん、ありがとう。ごちそうさまでした。」
お店を出て、もう一度お礼を言った。
「俺こそ有言実行できて良かったよ。ワームホールのことは、まだしばらく調べるから、もう少し待っててくれ。何かわかったらすぐ連絡するよ」
「うん、ありがとう。連絡待ってるね」
大学に戻る佐助くんを見送り、鞄から、家康に渡そうと思っていた2つの御守りを取り出す
「……家康に、会いたいな…」
2つの御守りを見つめ、今の願いを御守りにのせ、願いが叶うように2つの御守りを重ねて握りしめた。