第51章 恋から愛へ《10》
家康のことを佐助くんに話していたのだが……
「徳川家康は、武術全般がとても優れているんだよ。弓術、剣術、砲術、馬術に水術。趣味も多くて、有名なのは鷹狩りと薬づくりだね。そうか、家康公の薬はよく効くのか……」
とても嬉しそうに家康の話をしている佐助くん。
「すごいね、佐助くん…私なんかよりも全然知ってる……」
家康に看病もしてもらって、一緒にいる時間があったのに、こう話していると、私は家康のことをあまり知らないんだと、気づかされた。
「そうかな?俺は伝記を読んで、知っているけど、家康公が天邪鬼で実は優しい人だっていうのは、君に教えてもらって知ったことだ。君こそ、伝記にも記されてないことを知っているから、羨ましいよ。」
「そうかな…」
私からすると、趣味などを知っている佐助くんの方が羨ましい……
氷で薄まったミルクティーを、ストローでズズ…と飲み、その言葉も一緒に飲み込んだ。