第50章 恋から愛へ《9》家康side
「秀吉さん……」
「泣き顔より笑顔が見たいんだが、俺じゃ笑顔にしてやれなくてな…」
「…そんなことないでしょう……」
秀吉さんから香菜があまり寝ていないと相談されて、薬を煎じて香菜に渡しにいったら、秀吉さんのおかげで、毎日そこまで辛い思いをしていない。と香菜は言っていたし。
「いや。陽菜が居なくなってからは、香菜の本当の笑顔を見てない。……まぁ、仲良しの妹が急に居なくなったから無理もないが…」
本当の笑顔………
「………陽菜も、笑えてないんですかね…」
元の時代に戻ったとはいえ、身内と離れたんだ…
香菜が戦の絶えない時代に残っているから、陽菜は心配しすぎで、笑えていないんじゃないだろうか……
家康は小声で言ったのだが、
「家康……お前も、惚れた女の笑顔に弱いんだな。」
近くに居た秀吉には聞こえていた。
「!別に…そういうわけじゃ……」
「照れるなって。」
「照れてません。」
こういうときでも天邪鬼は健在
「…陽菜が早く戻ってきてくれるといいな。」
「……そうですね…」
しかし、この言葉は本音だった。