第50章 恋から愛へ《9》家康side
「(…秀吉さん?)」
秀吉さんの謝罪の声が本当に申し訳なさそうで、思わず足をとめ、二人の会話に耳を傾けた。
「秀吉さん謝らないで!秀吉さんは何も悪くないよ…」
「いや…俺があのとき陽菜に遣いを頼まなければ、陽菜は来世に帰ることはなかっただろ…本当にすまない。」
秀吉さんの苦痛の声が聞こえる。
「違うっ!秀吉さんのせいじゃないっ!!」
「いや…俺が自分で行ってれば、こんなことに……」
「秀吉さん!」
「っ、香菜…?」
「…っく……秀吉さんの、せいじゃ、ないよ……」
香菜の泣き声が聞こえ、廊下の角から顔だけを出し、様子を伺う。
あの日、香菜が広間にやってきたときみたいに、香菜が秀吉さんにすがりついていた。
「…っ、佐助くんが来ないと…わからないけど…っう、陽菜が居なくなったのは、秀吉さんのせいじゃ、ない…」
「香菜…」
「お願い、だから……そんなに、自分を…っく…責めな、いで……」
「……あぁ…わかった…」
香菜の涙を指で拭い、秀吉さんは香菜を抱きしめた。