第50章 恋から愛へ《9》家康side
陽菜が居なくなって2週間。
「…………今日も居ないか…」
陽菜が居なくなってから
朝、登城するときと
夕方、御殿に帰るときの
1日2回、城下を一通り見て廻って、陽菜が居てないかを探すのが家康の日課になっていた。
陽菜が居なくなったときのような雨や雷は、まだ起きてはいないが、家康は毎日城下の中を探していたのだ。
「……帰りにまた見て廻るか…」
重いため息をつき、重い足取りで城に向かっていた。
城に着き、広間に向かう廊下で、秀吉さんの後姿を見つける。
声をかけようかと思ったが、秀吉さんだけでなく香菜の姿も見え、その顔が辛そうな顔だったので、咄嗟に廊下の角に隠れた。
「(って、別に隠れなくてもいいのか…)」
ただ、雰囲気もいつものような二人じゃないから、その横を通りにくい。
「(仕方ない。遠回りして行くか…)」
二人に背を向けて歩き出そうとしたとき
「俺のせいで……本当にすまない…」
秀吉さんの謝罪する声が聞こえた。