第49章 恋から愛へ《8》
「……それだけ考えこんでる理由は…男ね!」
「へ?」
「だって、それ以外ほかに思い浮かぶ理由が見つからないもん!
仕事で怒られて落ち込んだりしてる姿は見たことあるけど、ここまで思い悩んでるとこみたことないし。
そもそも、無断欠勤したぐらいだよ!?
陽菜が無断欠勤するような人じゃないのは、主任も先輩達もわかってることだからね。
というか!仕事中、よく御守り見てるでしょ!」
「え!?なんで知ってるの!」
「気抜いたらよく見てるじゃん!しかも悲しそうな顔して。あんな顔は男絡みじゃないと出来ない顔だね。」
ビシ!と指を立てて力説しているけど、どんな顔よ……
「で、で?そこまで考えこませる男って、どんな人?かっこいい?職業は?」
結局聞きたいのはそっちなのね……
「………口は悪いし、かなり素っ気ない。」
初めてあったとき、家康の印象悪かったな…
まぁ、私も人のこと言えないけど…
「…口では面倒とか嫌って言ってても、言われたことは最後までやりきるし、努力家で気も遣ってくれて、根は優しくて……」
薬学の勉強も嫌々だったけど、丁寧に教えてくれて…
頑張ったこと褒めてくれて…
戦の緊張が解けて風邪ひいたときも、忙しいのに看病してくれた……