第49章 恋から愛へ《8》
「…………」
「……おーい、陽菜~?」
陽菜の顔の前で、手を左右に振る同僚。
それでも反応しない陽菜に、コーヒーショップでテイクアウトした、ミルクたっぷりの冷えたカフェオレ入りプラスチックカップを陽菜の頬にピトっとひっつけ…
「ふえっ!?冷たっ!!なにっ!?」
バッと振り向いた陽菜
「何回も呼んでるのに、陽菜ってば反応しないんだもん!」
「ご、ごめん!!」
プンっ!と拗ねる同僚に慌てて謝る陽菜
「ちょっと考えごとしてて……」
「陽菜って無断欠勤して、復帰した時から、なんか様子が変だよ?無断欠勤してたときになんかあったの?」
「まぁ、いろいろ………」
陽菜はひとつ、ため息をついて、冷えたミルクティーをストローでズズ…と飲む。
休みの日、買い物に付き合ってと同僚に誘われ、朝から、あちこちのアパレルショップ・雑貨屋などに連れて行かれ、休憩のためにコーヒーショップに入ってソファー席に座り、同僚に悪戯されるまで、ずっと考えごとをしていたのだ。