第48章 恋から愛へ《7》家康side
陽菜が居なくなってから1週間
信長様が書いた書状が越後に届いて、そろそろ返事が来てもいい頃だろう。
陽菜が居なくなった日に、城の家臣や女中達には、急きょ、故郷に帰ることになり、用事が終わり次第、戻ってくるという風に話した。
香菜の話を聞いたあと、途中だった軍議を再開させ、終わってから御殿に帰る前に、城下を虱潰しに探したが、陽菜の姿は見えなかった。
御殿に帰り、女中に出迎えられ、自室へと歩く。
部屋に入って、溜まっている書簡に目を通すが、全く内容が入ってこない。
「……500年後…か…」
500年後から来た姉妹。
香菜の話は夢物語みたいな話だった。
でも、実際に起きたこと。
「急に現れて、急に居なくなるって………どれだけ、回りに迷惑かけるの……」
戦のために薬学教えて、風邪ひいて、今川の残党達にも狙われて……
また風邪ひくし、怪我もして…今度は居なくなって……
「俺、いっぱい迷惑かけられてるし、振り回されてるんだけど……」
そう言う家康の顔は、嫌そうではないが、哀しい顔をしていた。