第5章 動き始めた恋心〈3〉家康side
《姉side》
陽菜の姿が見えなくなるまで、私は見送っていた。
「(無事に帰ってきてね…)」
救護のためとはいえ、それでも戦場に行くのだ。
しかも、ここは乱世……平和な現代と違い、何が起こるかわからない……香菜は不安でいっぱいだった……。
「心配なのはわかるが、あいつらがいるから大丈夫だ。だから、そんなに暗い顔するな。」
「秀吉さん……」
「前線には政宗と家康が出るが、本陣に三成が残る。あいつだって武将だ。何かあればしっかり陽菜のこと守ってくれる。」
「………うん…」
「あいつらが帰ってくるとき、笑顔で出迎えてやろう。な!」
そういって頭を撫でられた。
「…//」
「俺たちは待つことしかできないが、待ってる間、香菜は自分のやれることをやれ。」
「それに、伝令が状況を伝えてくれるから、何もわからないわけじゃない。何か連絡が来たら香菜にも教える。」
「うん。ありがとう」
「それでも不安や心配になったら俺のところに来い。いくらでも話を聞いてやる」
また、頭を撫でられる。
「っ//!秀吉さん、私子供じゃないよ……」
なんだか恥ずかしくなり、俯いてしまう
「……そうだな…」
え……
「陽菜は、かわいい妹にしか見えないが」
頭を撫でていた手が頬をつたい
「香菜のことは」
ゆっくりと顎に滑り落ちて
「1人の女として、いつも見てる」
顎をそっと持ち上げられると
「…ひ、でよし…さ…」
熱を帯びた瞳とぶつかり
「香菜…」
目が離せないでいると………