第43章 恋から愛へ《2》
「佐助くん、こんなとこで何してるの?」
「仕事の帰りで安土に寄ったんだ。今日か明日に君たちに会いに行こうと思ってたところなんだけど、ここで君と会えたのはラッキーだ。香菜さんは?」
「お姉ちゃんはお城だよ。私はお使い中。」
金米糖を買いに行こうとしているところだと話した。
「俺も、金米糖頼まれているんだ。じゃあ、一緒に買いに行こう。」
なんでも上杉謙信と同盟を組んでる武田信玄が甘いもの好きらしい。
佐助くんと並んでお店まで歩く
「そうだ。ずっと仕事に終われていて、いつ頃ワームホールが開くかまだ計算出来てないんだ。すまない。」
「あ、そのことなんだけど、私帰らないことにしたの…」
「え?」
佐助くんが、微かに驚いたような顔をする。
「ごめんね…どうしても、そばにいたい人が出来て…」
「そうなんだね。もしかして香菜さんも帰らないのかな?」
「あ、お姉ちゃんはちょっとわからないの…」
昨日もまだ悩んでいるって言ってたし…
「そうか。実は俺もこの時代に残るつもりだ。」
「え!?そうなの!?」
「最初は戻るつもりでいたんだけど、謙信様にはすごいお世話になったからね。俺も君と同じで大切な人が出来たんだ。それに研究はどこでも出来るし」
「佐助くん…」
「でも香菜さんが戻りたいなら、いつ開くか計算しないといけないからね。戻ったらすぐに割り出すよ。」
「うん…」
「じゃあ、金米糖買いに行こう。そのあと、お茶をごちそうするよ。」
「ありがとう!じゃあお言葉に甘えて。」
いつの間にか立ち止まって話していた私たち。
足を踏み出した途端