第42章 恋から愛へ《1》
あれから咳は二日後には止まり、世話役の仕事にも復帰した陽菜。
そして、家康に気持ちがバレて?から1週間が経ち……
「はぁ~、咳が止まったらやっぱり家康に会えないや…」
落ち込んでいた。
書簡整理、部下達の稽古、薬の調合、軍議、城下の見廻りなど、家康は仕事に終われていた。
咳が止まってから、世話役の仕事で数回、家康の御殿に行ったけど、不在だったり、部屋に籠って仕事をしているとかで、会えていない。
たまにお城の廊下で会うこともあるが、秀吉さん達と真剣に話し込んでいるから、邪魔しちゃいけないと思い、挨拶程度の会話だけで終わっていた。
「お礼もしたいのに……」
いつでも渡せるように懐に入れている御守りを取りだし、顔の前に持ってくる。
「いつ渡せるんだろ……」
出来れば二人のときに渡したい。
でも、もう1週間経ったし、そろそろ渡したい
「こんなに会えないなら1週間前に渡しとけば良かった。」
額に手をあて、陽菜は畳の上に転がった。