第39章 想い溢れる恋《10》
「あ、あのね!お姉ちゃん!」
「ん?」
「前、佐助くんが来てから、考えてたことなんだけど……私、その……この時代に…残ろうと、思ってる…」
「え…?」
思ってもいないことを言われたからか、お姉ちゃんが驚いた表情をする
「……家康のことが好きだから……そばにいたいの…。」
「……陽菜、本気で言ってるの?」
「…うん。」
「……そう…」
顔を臥せるお姉ちゃん。
沈黙している雰囲気がつらい
「お姉ちゃんも、秀吉さんのそばに本当は居たいんでしょ…?」
「……そばに居たいよ…でも、その覚悟は……ない。」
「え?」
「戦が絶えない時代だよ…いつも死と隣り合わせで…生半可な気持ちで残れない。」
「………」
お姉ちゃんの言っていることはわかる。
戦場まで行って、負傷した兵達を見てきたから。
軽傷だけでなく、重症の人もいた。
でも…
「それでも、残るよ……もう…こんなにも好きになっちゃったんだもん…」