第39章 想い溢れる恋《10》
「よしっ!出来たっ…と。」
パチンっ…
鋏で糸を切る音が聞こえた。
「すごい……こんな短時間で5つも……」
しかも、どれも私が作ったものより綺麗……
「着物みたいに大きな物じゃないしね。そうそう。昨日から、陽菜の着物作ってるんだよ♪」
「え?ほんと?」
「うん。出来上がり楽しみにしてて!
完成したら、それ着て、城下に遊びに行こっか。
陽菜、戦とか風邪でダウンして、あまり城下に行ってないでしょ?」
「うん!行きたい!世話役の仕事で城下には行ったことあるけど、プライベートで行ったことないし!」
「じゃあ、早く風邪治しなさいよ。美味しい甘味屋さん、秀吉さんに教えてもらったから」
「秀吉さんに?」
「うん。陽菜の着物作るのに反物を買いに行くのに付き合ってもらって…その帰りに……」
その時のことを思いだして嬉しそうに話していたのに、だんだん顔が沈んでいくお姉ちゃん。