第38章 想い溢れる恋《9》
「ん?私も御守り作ってる。」
「御守り?なんで?」
戦とかないのに?
「佐助くんが前来たときに、あと二月で帰れるって言ってたでしょ…
だから、信長様たちにお世話になったお礼で作ってるの。
陽菜は家康さんので、いっぱいいっぱいだろうから、他の人たちのは私が作ろうと思って。」
「……そっか…今、作ってるのは秀吉さんでしょ?」
「え?なんでわかったの?」
お姉ちゃんの目が見開いて、かなり驚いてる。
「だって、その御守りの生地、秀吉さんっぽいもん!」
常磐色の生地に鶯色で格子柄が織り込んでいる端切れは、秀吉さんのイメージに合っていた。
「それに、お姉ちゃん、いつもと違う表情で縫ってる。」
「え。」
「なんていうか…いつもは楽しそうにしてるのに、今はちょっと悲しい?そんな感じの顔だよ?」
「…そんなに顔に出てる?」
「うん。何かあったの?」
「うーん…まぁ、あったと言えばあった…かな…」
「なに?」
「……」
黙るお姉ちゃんは、手を止め、顔を伏せて…
「秀吉さんに…告白されたの……」
「……え?」
「……宴の二日後……陽菜が家康さんの御殿に行ってるときに…」