第38章 想い溢れる恋《9》
「陽菜、前より上手になったね」
お姉ちゃんが私の手元を覗いて褒めてくれる。
「前、何度も指に刺したから……コホ…」
あのあと、すぐに家康から貰っていた薬を飲んだ。
すぐには効かないかもしれないけど、そのうち効いて咳も治まるだろう。
「そういえば、前に作った御守りはどうしたの?」
お姉ちゃんも縫い物をしながら、聞いてきた。
「持ってるよ。」
「雨でぐちゃぐちゃになったんでしょ?」
「うん。ケホっ…直接ではないけど、一度は家康の手に渡ったものだから、大事にしたくて……」
家康がこの御守りを拾ってくれて、私を助けてくれたから、肌身離さずもっていた。
「……そっか…」
「お姉ちゃんは何作ってるの?」
お姉ちゃんも手の平サイズの大きさの端切れで何かを作っている。